地域に多様なサロンを
田中さんは「介護保険法の改正に伴い、軽度の『要支援者』のケアを介護保険から切り離し、地域社会によるケアに切り替える動きが進んでいます」と説明します。
特に軽度の「要支援者」をケアする「サロン」を多様な形で地域社会が準備できなければ、乗り切れないと考えています。田中さんがシニアネット仙台のサロン一番町の「次の一手」に注目する理由です。
田中さん自身は「今度の法改正は明らかに改悪ですが、誰が総理大臣になっても財政難を回避することはできません。反対しても仕方がないので、地域社会における助け合い、ボランティアの構造をどう作るかということに、NPOとしては踏み切った方がいい」という立場です。
「自分にまだ体力があり、友だちもいて、生活することに体力も耐えられる人はまだいいでしょう。でもそういう人たちでも必ず次のステージに移ります。特に一人暮らしになると、1日に1回でも30分でもいいから話し相手になってくれる人がいるかどうかがものすごく重要になります」
「シニアネット仙台の幅広い活動をうまく分解して地域社会の中でサロンをつくることを目指してはどうでしょうか。一人暮らしの高齢者が300円払えば握り飯を食べて1時間過ごせるようなサロン、交流の場が身近にあれば、何よりも本人のためになりますが、よく知らない他人と、たまたま同席して雑談することが実は、話しかけられた、その人にとっても大きな意味があります。身近なサロンに行くことが自体が立派な社会貢献になります。1週間に1回集まってみんなで歌を歌うサロンでもいい。ネタはいくらでもありますよね。重要な点は自分たちだけが楽しむのではなく、広く呼び掛けて、外から人を呼び込むことです」
(連載「シニアネット仙台」おわり)
【関連リンク】
・シニアネット仙台と日本型シニアセンター
http://prj.smt.jp/~gakusya/2001/pcsalon/center/centerdata.html
・ASIAN AGING SUMMIT 2012から
http://www.nikkeibp.co.jp/aging/article/report2012/20130612/01/03.html