【元国会議員秘書がこっそり教える選挙の裏のウラ】

#03 開催されない「幻の街頭演説会」を告知するポスターのナゾ

前回は、選挙期間前から候補者の名前を呼びながら走っていた街宣車の謎についてお話しました(選挙前に走っていた街宣車って違反じゃないの?「政治活動」と「選挙活動」というカラクリ)。もう一つ、多くの皆さんが疑問に感じたものがあると思います。それは、なぜか選挙期間「前」から街中にたくさん貼られていた候補者のポスター。告示日前に「選挙活動」をするのは法律違反のはずですが、なぜそれらのポスターが違反とされないのか?今回は、その謎にお答えします。

「選挙活動ではなく政治活動です!」という“タテマエ”

皆さんは街中で、政治家が一人で写っているポスターや、連名で二人並んで写っているポスターを見たことがあると思います。政治家が一人で写ってるポスターのことを「単独ポスター」、連名で二人並んで写ってるポスターのことを「二連ポスター」と呼んでいます。

単独ポスターの例(※候補者、ポスターは実在しません)
二連ポスターの例。多くは「演説会の告知」という建て前で貼られている(※候補者、ポスター等は実在しません)

実は、これらのポスターを貼る際にもルールが存在しています。二連ポスターには「3分の1ルール」というものが存在します。①候補者個人、②政党の党首などそれに準ずる人、③政党のキャッチコピーや告知、として、ポスターの中で①が占める面積は、③と同じか、それ以下でなければなりません。というのも、このポスターも前回お話したように、「選挙活動」をしているわけではなく「政治活動」をしている、というタテマエで貼られているからです。




実は開催されない!?幻の街頭演説会

また、二連ポスターを街中で見かけたら注意して見てほしいところがあります。それは名前の部分と日付です。多くのポスターが「街頭演説会の告知」という設定になっています。そして名前のところには「弁士」と書いています。これは、上で書いているタテマエに基づくものです。「選挙活動をしていないのです、政治活動をしてるのです」ということの証明になるわけです。

そして街頭演説会の日時も書かれていますが、この日程は選挙が終わった後の日程になっていたり、空欄になっていたりします。日時が過ぎてしまった告知は告知として見なされなくなり、剥がさなくてはいけません。そのため、日時は遠くに設定してあります。そして実際に告知しているのに、その時間、その場所で演説会をしてる人はほとんどいないかと思います。あくまで予定であり、確定ではないのです…。

選挙前に単独ポスターでなく「二連ポスター」ばかりが街中にあふれるワケ

顔を売るのには単独ポスターのほうが適しています。なぜなら一人当たり使える面積は二連ポスターの3倍になるからです。じゃあこの単独ポスターのみ貼ればいいじゃん!と考える人も多いかと思いますが、これにもまたルールがあります。

単独ポスターは、市長選なら市長の任期満了日の6カ月前には剥がさなければいけません。つまり、選挙前の半年は貼ってはいけないルールなのです。なので選挙が近くなると、単独ポスターから二連ポスターに変更していくという作業があります。

しかしこの二連ポスターも、選挙の公示・告示がされた後は剥がさなければなりません。厳密に言えば、候補者の顔と名前を隠さなければなりません。そのため、二連ポスターは貼りっぱなしで候補者部分にだけ紙を上から貼り付けることもあります。今は選挙期間中なので、皆さんが街中で二連ポスターを見かけることはもうなくなっているはずです。(※選挙期間中に掲示板に貼られる選挙ポスターについては→第一回の記事:「選挙ポスター」のディープな楽しみ方、教えます




「めちゃくちゃ粘着力が強い」ポスターで、塀にもペタリ

ポスターはいたるところに貼ってありますが、勝手に貼っていっているわけではありません(笑)。後援会に入っている人などにお願いして貼らせてもらっています。地域を回り、一件一件チャイムを鳴らして「ぜひ貼らせて下さい」とお願いをして回ることもしています。この時も“タテマエ”があるので、「選挙に出る」ということはお話しません。この活動を4時間も続ければ、貼りやすい塀やフェンスは見分けられるようになります。筆者は家を見る時に今でも貼りやすい貼りにくいか自動的に判断してしまいます…。

無事許可が下りれば、貼る作業となります。ポスターには予め両面テープを貼っておき、それを剥がして貼ります(ちなみにポスターに両面テープを貼る作業を裏貼りと呼んでいます)。この両面テープはめちゃくちゃ粘着力が強いです。跡がついてしまうこともあるので、それを避けたいときには裏貼りをしていないポスターを使います。その際には「ワッポン」という、跡はつかないけれど粘着力があるシールみたいなものを貼っていきます。ワッポンは壁紙が剥がれないので、イベント装飾にも使えます。(ワッポンは何かあった時のために常に車に積んでありました)

フェンス状の壁にはプラスチック板にポスターを貼り付け、プラスチック板に穴を開けてそれを結束バンドでフェンスに結びつけるという方法でポスターを貼ります。これがわりと重労働で、慣れないと10分ぐらいかかります。

候補者の知名度向上や有権者との会話のきっかけにも

このようにしてポスターを貼っていきますが、ポスターには多くの人に見てもらえる効果があります。新人候補の場合、このポスターをどれだけ貼れるかが、知名度を左右します。またこのポスター貼りの活動をすることにより、ポスターを貼ることを断られてもしっかり活動していることをアピールできますし、地域の方とお話する機会も得ることができます。

というわけで、ポスターのルールや意味などかなりマニアックなところを書いていきました。もし今後ポスターを見かけることがあれば、一度立ち止まって見てもらえれば、説明したことが理解できるかと思います。そして、それを貼るために頑張ってる人もいるので、ぜひその人の顔も想像してあげてください(笑)




360ネットワークニュース一覧360°VR動画ニュース記事一覧

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です