【仙台ジャズノート(最終回)】次世代への視界まとめに代えて

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】「仙台ジャズノート」は、仙台発のネットメディア「TOHOKU360」に週1回、33回にわたって掲載されました。ジャズという、米国生まれの音楽に取り組む身近な演奏家たちに話を聞き、彼ら、彼女らの思いに直接触れるのが主眼でした。地域のジャズの現場をあらためて自分の足で回り、事例紹介を中心に連載を組み立てるように努めました。インタビューもなるべく端折らず、協力してくれた演奏家の生の声をつづったつもりです。

身近なジャズの現場はさまざまな世代によって支えられています。プロおよびプロ志向の強い演奏者からさまざまなスタイルでジャズにかかわるアマチュア層まで。年齢的には小学生から80歳前後の世代まで含みます。特に団塊の世代=1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年) までに生まれた人々=と、さらにその上の世代の現役ぶりが半端ではありません。現代とはちょっと異なる音の世界を生き抜いてきたシニア世代の、ジャズへのこだわりや演奏スタイルなど、若い世代にも参考にしてもらいたいものです。小学生のビッグバンドの活動やプロ志向の強い若いジャズメンたちの発熱具合は、ジャズ音楽の可能性をあらためて感じさせました。

最初のプランではジャズ音楽と街づくりについても考える予定でした。しかし、連載を始めてすぐ、予想もしなかった新型コロナウイルスに直撃されました。他のアートやエンタメ系の活動同様、ジャズの現場でも、ライブや音楽イベントが事実上、休止に追い込まれました。仙台の街づくりとジャズ音楽を語るには欠かせない「定禅寺ストリートジャズフェスティバル in 仙台」や「とっておきの音楽祭」「長町ビッグバンドフェスタ」など大型の音楽イベントがすべて中止となりました。

取材計画の大幅な見直しを余儀なくされました。取材に応じてくれた演奏家のみなさんも、あまりの衝撃の大きさにたじろいでいました。いわゆる「三密」回避の要請と、人前で演奏することを両立できない苦しみがジャズの現場からひしひしと伝わってきました。

テナーサックス奏者3人がフロントを形成した即興バトル。左から林宏樹さん、廣海大地さん、勝部彰太さん。普通のライブではなかなか味わえない緊張感に富んでいました。(2020年2月24日、「国分町ライブハウス巡りの旅 SENDAI LIVE WALK」のひとこま)

身近なジャズの現場は今なお長いトンネルの中でもがいています。一方、明日の音楽シーンをより独創的なものにするための取り組みも確実に始まっています。オンラインによる配信サービスを軸に、聴き手のみなさんとの関係づくりを再構築する方向も視界に入りつつあります。詳細は連載に急きょ組み込んだPART4「コロナとジャズ」をご覧ください。

とりわけ連載のタイミングの関係で紹介できなかった「せんだいミュージックゴーラウンド」の活動が注目されます。コロナ禍の深刻な影響を受けつつある仙台のジャズミュージシャンたちがYouTubeでスタートさせた新しいチャンネルです。

「仙台ジャズノート」でも紹介したベース奏者で映像制作やネット配信のプロ、三ケ田伸也さんの協力で仙台のミュージシャンたちが映像制作やネット配信の技術を学んでいます。ミュージシャン自身が技術を学び、チャンネルプロデュースも自分たちで取り組んでいます。コロナの影響を受けたライブバーとも連携。ネットで運営資金を募るクラウドファンディングも導入しています。仙台のジャズシーンを自ら守る気迫が伝わってきます。

サックス奏者名雪祥代さんのグループ「名雪祥代クインテットfeat.渡邉滉介」と地元の芸人「ストロングスタイル」とが共演するライブを皮切りに、勝部彰太さんのテナーサックスとタップダンサー丹精(TANSEI)さんのデュオも公開されました。サックスとタップダンスのデュオは、予想以上にスリリングで、ボーッと眠ってしまった全身のリズム感を呼び覚まされるような感じにとらわれました。

以下、「せんだいミュージックゴーラウンド」からの引用です。

このコロナ禍において、仙台の音楽シーンも例外なく大変大きなダメージを受けています。 ミュージシャンは演奏の機会を奪われ、ライブスポットは来客数の大幅な減少に見舞われ、音楽に携わる多くのスタッフが仕事現場の減少により経営の危機に直面しています。 ですがピンチこそチャンス。 現状を打開すべく業界が一致団結し、現状から地元音楽シーンをみんなで守り抜き、更に、これまでにない話題とエンターテイメントを提供していこう! そんな思いで結成された団体が我々「せんだいミュージックゴーラウンド」です。

http://sendai-musicgoround.com/

【連載】仙台ジャズノート
1.プロローグ
(1)身近なところで
(2)「なぜジャズ?」「なぜ今?」「なぜ仙台?」
(3)ジャズは難しい?

2.「現場を見る」
(1) 子どもたちがスイングする ブライト・キッズ
(2) 超難曲「SPAIN」に挑戦!仙台市立八木山小学校バンドサークル “夢色音楽隊”
(3)リジェンドフレーズに迫る 公開練習会から
(4)若い衆とビバップ 公開練習会より
(5)「古き良き時代」を追うビバップス
(6)「ジャズを身近に」
(7)小さなまちでベイシースタイル ニューポップス
(8)持続する志 あるドラマーの場合
(9)世界を旅するジャズ サックス奏者林宏樹さん
(10)クラシックからの転身 サックス奏者名雪祥代さんの場合
(11)「911」を経て仙台へ トランペット奏者沢野源裕さんに聞く①
(12)英語のリズムで トランペット奏者沢野源裕さんに聞く②
(13)コピーが大事。書き留めるな/トランペット奏者沢野源裕さんに聞く③

3.回想の中の「キャバレー」
(1)仕事場であり、修業の場でもあった
(2)南国ムードの「クラウン」小野寺純一さんの世界
(3)非礼を詫びるつもりが・・ なんちゃってバンドマン①
(4)プロはすごかった なんちゃってバンドマン②
(5)ギャラは月額4万円 なんちゃってバンドマン③
(6)しごかれたかな?なんちゃってバンドマン④

4.コロナとジャズ
(1)仙台ジャズギルドの夢・仙台出身の作編曲家秩父英里さんとコラボ
(2)ロックダウン乗り越え「未来のオト」へ/作編曲家でピアニスト秩父英里さんに聞く
(3)動画配信で活路を開く/ベース奏者三ケ田伸也さんの場合
(4)「WITH コロナ時代」のプラットフォーム
(5)一歩でも前へ/サックス奏者安田智彦さんの場合
(6)コミュティFMと連携 とっておきの音楽祭の挑戦

5.次世代への視点
(1)地域発のジャズを楽しむ
(2)プロとして60年:ビッグバンドリーダー白石暎樹さん(77)
(3)アマチュアのみなさんへ:ビッグバンドリーダー白石暎樹さん(77)
(4)合奏に魅せられほぼ半世紀:佐藤博泰さん(71)①
(5)再考「キャバレーの時代」:佐藤博泰さん(71)
(6)まとめに代えて

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TOHOKU360は、東北のいまを東北に住むみんなの手で伝える、参加型の"ニュースプロジェクト"です。経験豊富なメディア出身者で構成される「編集者」と、東北6県の各地に住む住民の「通信員」とが力を合わせ、まだ知られていない価値あるニュースを一人一人が自分の足元から発掘し、全国へ、世界へと発信します。

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